Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、2ndシングルであり、2ndアルバム「OFF THE LOCK」の1曲目に収録されている楽曲、
「君の中で踊りたい」
を、自由に正直に語る。
マインドが進化
前作の1stシングル「だからその手を離して」及び、1stアルバム「B’z」のリリースから1年も経たずにリリースされた本曲。
そして、本曲が収録されている2ndアルバム「OFF THE LOCK」も本曲と同時にリリースされており、前作のリリースから休む間も無く制作されていることがわかる。
どうやら当時の松本さんの意向により、ライブをするためにはある程度楽曲が揃える必要があると判断し、本作のリリースまでは、オリジナル楽曲の制作に尽力していた時期なのだそうだ。
前作のリリースから矢継ぎ早のようにも思えるが、肝心の本曲の仕上がりには驚く。
確実に進化しているのだ。
初期B’zのコンセプトである「ロックと打ち込みの融合」が昇華しており、デジタル色はマイルドになりつつも、全体的なサウンドは一気に華やかな仕上がりとなっている。
たしかにこの時点では、まだ「B’z色」は感じられないが、楽曲全体のまとまりやアレンジ、そして稲葉さんの歌唱力等が明らかに進化しており、B’zの「過程」を知るためには必聴と言えるナンバーだ。
ただし、前作と比べ「特徴」や「癖」といったものは影を潜めており、キャッチーな部分が少なくなってしまった印象ではある。
攻めた楽曲を期待している聴き手にはオススメできないが、B’z色が「嫌い」もしくは「苦手」で、且つ、ハードロックよりもPOPが好きという聴き手には、「軽やか」で「あっさり味」の本曲がオススメ。
なお、本曲には、英詞の別バージョンが存在しているので必聴。
イントロ
踊り始めを告げるかのような四つ打ちのリズムから始まり、稲葉さんの掛け声と共に、情熱的なブラスと松本さんの絡みつくようなギターを聴くことができる。
そして、この絡みつくような松本さんのバッキングフレーズが最高にカッコよく、時折織り交ぜるピッキングハーモニクスが最高にセクシー。
本曲のハイライトと言っても過言ではない。
しかし、アレンジ上、意識して聴かなければ気づきにくいフレーズであるため、ピンと来ないB’zファンや聴き手は、今一度、意識して聴いてみていただきたい。
メロ
情熱的なイントロが終わり、稲葉さんがボーカルイン。
前作から肩の力がいくぶん抜けており、自信に満ちた自然な歌唱になっていることがわかる。
そして、意外と驚きなのはBメロ。
一般的な8小節や4小節の構成ではなく、2小節と4分2による、B’zとしては珍しく、非常に短いセクション構成になっているのだ。
これにより、サビまでの加速を生んで、軽やかな本曲に大きく貢献している。
サビ
イントロと同様の情熱的なブラスと松本さんの絡みつくようなギターの上で、稲葉さんが情熱的に歌い上げる。
メロディーとしては、可もなく不可もなくと言った印象で、特段の特徴はない。
しかし、本曲のサビのハイライトは、ギターソロ後の最後のセクションだ。
稲葉さんが主線に絡みつくような英詞によるコーラスを共に歌い上げるのだが、主線とは異なるメロディーで進行するコーラスが絶妙で、このボーカルアレンジが最高にカッコいい。
楽曲が進むにつれてサビセクションのアレンジが変わるというのは、B’z楽曲の中でも珍しい。
余談だが、個人的にはハモリのメロディーが主線に聴こえてしまい、ライブ等で本曲を聴いた際には、違和感を覚えてしまう。
ギターソロ
ギターソロでは松本さんがトチ狂ったかのように、いや、情熱的に弾きまくる。
松本さんには珍しいノンストップな速弾きで、気合と若さを感じるし、ここでも聴くことができるピッキングハーモニクスが大好きだ。
ただし、松本さんの純粋な速弾きを聴きたければ本曲がオススメではあるが、キャッチーではないし、これといった「松本印」は一切存在しない。
練習すれば誰でも弾けるようなフレーズであるため、「これが松本孝弘だ!」と手放しに紹介はできないのが残念ではある。
新しい爪も生えてくるし、背中がムズムズしてきた、翼かも
ギターといいボーカルといい、絡みつくような数々の本曲のアレンジは最高だ。
これも明石昌夫さんのアレンジ?
本当に良い仕事してます。
さて、前作の「だからその手を離して」と比べて知名度は低いものの、デビュー作から明らかに進化しており、B’zの進化の過程を知る上では非常に重要な本曲。
本曲をスキップしていたB’zビギナーや聴き手には、上記で語った内容を意識して聴いてみていただきたい。
きっと、B’zとしては「軽やか」で「あっさり味」ではあるものの、珍しいアレンジが随所に詰まった本曲の魅力に触れることができるはずだ。