Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、1stミニアルバムである、
「BAD COMMUNICATION」
を、自由に正直に語る。
エンドレスなブレイクのきっかけ
「BAD COMMUNICATION」は、1989年10月21日にリリースされた、B’zの1stミニアルバムである。
アルバムの帯にも記載されているとおり、本作のキャッチフレーズは「エンドレスで、かまわない。止めるまで、DANCE空間。DANCE ORIENTED SPECIAL」。
2ndアルバムのリリースから5ヶ月後に「ミニアルバム」という変化球のような形でリリースされた本作。
そんな変化球がまさかのヒットとなり、B’zのエンドレスなブレイクのきっかけとなった本作について語っていこう。
B’zがダンス?
世間では「B’z=ハードロック」といったイメージが色濃くあり、数々のモノマネタレントが稲葉さんのシャウトする姿を誇張して披露しているような現代において、本作のキャッチフレーズに疑問を抱く方が多いのではないだろうか?
たしかにB’zは、アジア圏のアーティストとして初めてハリウッドのロックの殿堂「ロックウォーク」に殿堂入りを果たした、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、エアロスミスなどのロックの神々と名を並べるまでのロックバンドである。
また、現代のB’zにおける主な楽曲は、骨太なロックを基調としている楽曲が目立つため、あながち間違いではない。
しかし、これまでのB’zの作品における音楽性については、ロックの一言では片付けることができないほど非常に幅広い。
誤解を恐れずに言えば、「ロックウォーク」に殿堂入りを果たすには忍びないほど、「ロックだけ」を演奏しているバンドではないのだ。
「ロックウォーク」の殿堂入りは、長年B’zを愛して聴いてきた私にとって嬉しい出来事ではあったが、少し疑問を抱く出来事でもあった。
そんな疑問のタネの一つが本作である。
本作の音楽性は、ロックを基調としてはいるものの、その全容はシンセサイザーの打ち込みやサンプリングを全面に打ち出した色鮮やかなダンサブル作品だ。
現代のB’zの音楽性とは驚くほどに真っ向から異なる作品なのである。
そもそも、初期のB’zは「ロック」(アナログ)と「打ち込み」(デジタル)の融合を目指していたため、1st・2ndアルバムにおいても現代のB’zの音楽性とは異なるデジタルチックな仕上がりではあるが、それでも本作の仕上がりは異常なほどにデジタル。
当時のB’zが、好き放題・やりたい放題、アクセル全開のノーブレーキで「打ち込み」(デジタル)要素を強めた、賛否両論・聴き手を選ぶほどの異例の作風なのだ。
(私自身、本作を素直に楽しめるようになるまで相当の時間が必要だった・・・。)
しかし、異例とも思える作風の本作は、結果的に累計100万枚を突破することとなり、当時ヒットに恵まれていなかったB’zがブレイクするきっかけとなる作品になった。
体が勝手に動き出すほどの強烈なダンスビートに終始支配された本作は、まさにキャッチフレーズの如くエンドレスなDANCE空間を提供したことで、現在まで続くエンドレスなヒットを創り出したのだ。
日本が世界に誇る天下のロックバンドB’zの初ヒットがロック作品ではなく、まさかのデジタルでダンサブルな作品という奇天烈。
気持ちの良いくらい「打ち込み」(デジタル)要素に振り切った本作のヒットを知っていて、「ロックウォーク」に殿堂入りを素直に喜べない方もいたのではないだろうか?
アルバムではない?
最近ではめっきりミニアルバムを発売していないB’zだが、これまでに本作を含め「5枚」のミニアルバムをリリースしている。
(一番の有名どころで言えば、「いつかのメリークリスマス」を収録した4thミニアルバム「FRIENDS」だろうか。)
そして、本作がB’zにとって記念すべき初めてのミニアルバムとなるのだが、なんと本作はアルバムとして扱われていない。
本作には3曲が収録されているのだが、日本レコード協会は収録楽曲の少なさから、これを「マキシシングル」と定義している。
つまり本作は、ミニアルバムでもアルバムでもない、まさかの「シングル」作品なのだ。
(表題曲の「BAD COMMUNICATION」が有名すぎて、逆に一般人はシングルではないことに驚くかもしれないが・・・。)
しかし、B’zも本作を公式にミニアルバムとしており、私としてもシングルの扱いには異論がある。
たしかに収録楽曲数だけに注目すると少ないように思えるが、収録時間に注目すると、決して本作をシングルの扱いにはできない。
本作のトータル収録時間は「21分83秒」であり、収録楽曲3曲のすべての収録時間が「7分を超える」のだ。
一般的なシングルの収録時間が3〜4分程度と考えると、およそ2倍の楽曲が収録されていることとなる。
これで素直にシングルと思えるだろうか?
私には到底思えないし、B’zの二人も公式にミニアルバムと定義しているように納得できていないはずだ。
しかし、幸いなことに本作をシングルと思っているファンはほとんどいないため、結果オーライであり、これからも本作はミニアルバムだと思い続けることは言うまでもない。
収録曲ランキング発表
先述のとおり、本作の収録曲数は「3曲」。
どのように本作を聴くべきか、どの曲から聴くべきか迷っているB’zビギナーに向けて、本作の聴き方についてお教えする。
まず本作は、しつこく何度も繰り返すように、全体を通して現在のB’zとは随分とかけ離れた作品。
かなり過剰にデジタルサウンドを多用しており、更にすべての楽曲が7分を超える収録時間と、どこを切り取ってもB’zとしては異例の作品である。
言わずもがな、ハードロック路線のB’zを期待して本作を聴くのはご法度。
ただただ肩を透かして、低評価の中で落胆するだけである。
加えて本作は、「ロック」(アナログ)と「打ち込み」(デジタル)の融合を目指していた初期B’zが、好き放題・やりたい放題、アクセル全開のノーブレーキで創り上げた、聴き手を度外視しているかのような実験的な作品であり、当然のことながら人によっては聴き辛さを感じるだろう。
素直に本作を楽しむためには、様々なジャンルの音楽を聴いて耳を肥やし、且つ、B’z=ハードロックという無駄な固定概念を捨てることが必要であり、人によってはかなりの時間を要する。
また、本作だけを繰り返し何度聴き続けても、素直に楽しむようになることができないところが難しいところだ。
私自身も本作を素直に楽しめるようになるまでに、実に様々なアーティストの音楽を聴いて耳を肥やしてきた。(初めて聴いた時は、駄作なのか?と落胆しそうだった・・・。)
初めから本作を素直に楽しめる方は少なく、努力にも似た経験が必要であり、無理に初めから楽しむ必要はない。
徐々に耳を肥やして、スムーズに音が耳に流れ込んでくる日を、体が勝手に動き出す日を期待して、じっくりと何度も何度も聴いていただきたい。
以上を理解いただいた上で、私は以下の順で聴くことをオススメしたい。
※曲名横の( )内の数字はアルバム収録番号。また、曲名下のリンクは、楽曲の個別レビュー。
1.BAD COMMUNICATION(1)
【B’z】「BAD COMMUNICATION」を、自由に正直に語る。
2.DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE -OFF THE LOCK STYLE-(3)
【B’z】「DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE -OFF THE LOCK STYLE-」を、自由に正直に語る。
3.OUT OF THE RAIN -OFF THE LOCK STYLE-(2)
【B’z】「OUT OF THE RAIN -OFF THE LOCK STYLE-」を、自由に正直に語る。
以上である。
選曲基準は、あくまでも私自身が感じる「わかりやすさ」。
メロディーのわかりやすさ(キャッチーであるか)や、曲全体の完成度(まとまり)を意識した基準だ。
もちろん、選曲基準を変えれば優先順位は前後するし、人それぞれ、B’zファンそれぞれの選曲基準があるため、これは一つの参考として捉えてほしい。
これからB’zを聴き始める方や、B’zファンであっても本作の聴き方がわからずに困っている、そんなビギナーの手助けとなれば幸いだ。
なお、上記にも記載しているとおり、収録曲を個別に詳しく語っているため、気になる楽曲があれば是非とも参照いただきたい。
さぁ、あなたも本作を聴いて、B’zが提供するDANCE空間に身を預け、稲葉さんのように激しくエンドレスに腰を振ろう。