Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、2ndミニアルバム「WICKED BEAT」の4曲目に収録されている楽曲、
「Lady-Go-Round "W-40" Style」
を、自由に正直に語る。
<はじめに>
このブログは、B’zの作品についてギタリストのRyo’zが、
・作品の概要 ・世界観 ・音楽性 ・聴きどころ ・稲葉さんのボーカル ・松本さんのギター ・イントロ、メロ、サビ、ギターソロ等のセクション毎の解説 等々・・・
B’zファンとして、ギタリストとして、そして音楽リスナーとして。
自身の経験を踏まえて解説、自由に考察しながら正直に語るブログです。
英詞になって魅力半減?
「メリーゴーランド」を捩った遊び心に溢れた曲名や、「こひしかるべき」「わがなみだかな」「かみのまにまに」等の百人一首の言葉を大胆に用いた歌詞で、B’zファンのみならず、様々な音楽リスナーを驚かせた3rdシングルの「LADY-GO-ROUND」。
そんな「LADY-GO-ROUND」を英詞に変更し、さらに打ち込みやサンプリングを多用することで、適度にダンステイストを強めたリメイク作品が本楽曲である。
百人一首の言葉を大胆に用いた歌詞が最大の魅力であった「LADY-GO-ROUND」は、英詞になることでどのように変化したのか。
百人一首の言葉達はどうなってしまったのか?
リメイクによって楽曲の魅力は増したのか?
はたまた、減ってしまったのか?
じっくり語っていこう。
(原曲のレビューについては、以下からご確認いただけます。)
【B’z】「LADY-GO-ROUND」を、自由に正直に語る。
Koishikarubeki
正直、私は本楽曲を聴く前から、ある程度の想定をしていた。
そして、B’zはその想定にしっかりと応えてくれた。
もう、ツーと言えばカー、カーと言えばグー、グーと言えばパーの「ツーカーの仲」。
(えっ、古い?)
私の想定は、
・「こひしかるべき」「わがなみだかな」「かみのまにまに」等の百人一首の言葉はそのまま残し、無理に英詞に変更せずに歌われるだろう。
・ギタリストであり、天下のプロデューサーでもある松本さんが、楽曲最大の魅力である「百人一首の言葉を用いた歌詞」を捨てるなんて、ナンセンスな判断・リメイクはしないだろう。
・過去の英詞リメイク作品において、重要な内容・響きとなる日本語については英詞に変更せず、日本語のまま用いることが度々あったため、今回のリメイクでも同様の手法を取り入れるだろう。
こんなところである。
実はB’zファンであれば誰もが容易に想定できるところであり、私以外にも上記のように想定していた方は多いはず。
そんな期待にも近い想定に応えるように、B’zはすべての歌詞を英詞に変更することなく、「こひしかるべき」「わがなみだかな」「かみのまにまに」等の百人一首の言葉はそのまま残すアレンジを施した。
(初めて本楽曲を聴いた当時、”やっぱりな〜”とニヤリとしたことを覚えている。笑)
この想定通り、期待通りのアレンジのおかげにより、原曲の魅力はそのままに、さらに打ち込みやサンプリングを適度に強めたダンサブルサウンドをじっくりと楽しめる、安心安全の良質なリメイクとなった。
正直に言うと、「LADY-GO-ROUND」のメロディーはかなり控えめの作りであり、何の特徴も何度も聴きたくなるような癖もない。
メロディーだけを聴いた場合の楽曲クオリティーはイマイチなのだ。
そんな「LADY-GO-ROUND」も、百人一首の言葉を用いた稲葉さんの独自のセンスが光る歌詞と、本楽曲における適度なサウンドアレンジにより魅力は数段と増した。
つまり本楽曲が「LADY-GO-ROUND」の究極の姿であり、本来の魅力を最大限に引き出した作品なのである。
未聴の方に安心してオススメできるのはもちろん、原曲を聴いて満足できなかった方にも是非聴いてほしい作品だ。
ちなみに、本楽曲の曲名に付属している「”W-40″」
このサブタイトルの由来について、B’zは明確にしておらず「秘密」としている。
「W-40」と言えば、Morrisというギターメーカーから発売されているアコースティックギターが思い浮かぶが、はたして関係しているのかどうか・・・。
徹底的に探りたいところではあるが、秘密としているところ。
深堀はせずに、この辺でボヤかしておこう。
イントロ
悪魔的におどろおどろしく加工された、稲葉さんの「WICKED BEAT」のハイテンションな掛け声(タイトルコール)からスタート。
(稲葉さん楽しそう笑)
そんなパリピの稲葉さんに続くように、直ちにパリピ松本さんも激しく鳴き叫ぶように、悪魔的なサウンドに加工したギターで雄叫びをあげる。
(めちゃ歪んでて悪い音してるわ〜笑)
異常なハイテンションで遊び心に溢れたアレンジに初めは驚くものの、原曲と異なる新しい響きを楽しむことができるのは、ファンとしては大変嬉しいところ。
そして、低音域のシーケンスが忙しく鳴り始めれば、聴き馴染みのある「Lady-Go-Round」が顔を覗かせる。
そこには、原曲同様、B’z初期作品の定番「逆再生サウンド」のサンプリングが散りばめられているのはもちろんのこと、追加アレンジとして、宇宙的なサウンドのSEと女性コーラスによる「Round」の掛け声を聴くことができる。
原曲よりも焦らすように長めに演奏されるため、これからどんな化粧(アレンジ)を施した「Lady-Go-Round」を聴くことができるのか、期待が高まりワクワクが止まらない。
その後、乾いたドラムのフィルを合図に、サビセクションの「こひしかるべき」のメロディーラインを奏でるシンセリードと、松本さんのバッキングが交互に演奏される。
さながら、ブルースでお馴染みの「コール&レスポンス」だ。
聴き慣れたサウンドに安心感を抱きつつ、相変わらずの軽快に展開されるイントロに体が自然と動き出してしまう。
メロ
原曲と同様に「Rain」の歌詞と共に、さっそうと稲葉さんがボーカルイン。
ハスキーな声質だった稲葉さんが、少しずつ太くクリアな声質へと変化していることがわかる。
未だに「ぎこちなさ」は残るものの、原曲収録時よりも歌唱力が増しており、セクション毎の歌い分けが更に顕著になっている。
また、ボーカリストとして表現力の幅が広がっており、どこか自信に満ちた歌声を聴くと気持ちよい爽快感に包まれる。
そして、相変わらず歌い尻がなんともセクシー。
そんな稲葉さんを影で支える松本さんの煌びやかなクリーントーンも印象的だ。
サビ
先述のとおり、メロディー自体のインパクトは控えめであり、特段キャッチーではないサビセクションであるが、稲葉さんの遊び心に溢れた歌詞のおかげで耳が奪われる。
「こひしかるべき」や「わがなみだかな」、「かみのまにまに」等、聴き馴染みのない百人一首の言葉から、「round、round、round•••」と繰り返すセクションが、独特な雰囲気を醸し出している。
また、複数人による女性のコーラスも楽曲に華やかさを与えており、歌詞の男女の世界観をより一層明確に表現してくれている。
そして、2コーラス目以降の大胆な後半の転調は、平坦となってしまいそうな繰り返すサビに程良い刺激を与えている。
ギターソロ
松本さんが敬愛するギタリスト「マイケル・シェンカー」のように、半開きのワウサウンドが印象的であり、且つ、休符(間)を巧みに織り交ぜた躍動感に溢れるプレイは、同様にマイケル・シェンカーを彷彿させる。
原曲よりもギターソロセクションの小節数は拡張されており、圧巻のラン奏法や安定したチョーキング、ビブラート、レガートな速弾き等、より一層と「松本孝弘節」を堪能することができる。
ギターソロセクションを締めくくる「スティーブ・ヴァイ」を彷彿させる重厚なサウンドによる遊び心溢れる下降フレーズは、唐突なブレイクと共に現れるため、ノリノリな聴き手にブレーキを掛けるように、楽曲に良いメリハリを与えてくれる。
そして、原曲と異なり、アウトロセクションにおけるギタープレイは自由且つアグレッシブ。
ピッキングハーモニクスやライトハンド奏法、過激なアーミングを駆使しながら、アドリブ要素が強いフレージングで弾きまくり、最後には突き抜けるようなチョーキングで締める。
あぁ、なんて気持ちが良いんだ・・・。
最高だよ。
泡を吹いて昇天。
しかし、昇天するのはまだ早い。
なんと、本楽曲にはアウトロセクション以降に、メロウで哀愁漂うセクションが別途用意されている。
稲葉さんの終わりを告げる英語による語りと共に、松本さんの泣きのギターを楽しめるのだ。
中音域がギュッと詰まったギターサウンドで奏でられるロングトーンに、ダンサブルサウンドで熱くなった体と耳がどんどん癒されていく。
松本フリーク大満足。
再び泡を吹いて昇天。
そして、ふたたび再生ボタンを押すのであった。
(本楽曲がアルバムにおける最後の収録曲であるため、本楽曲のためと言うよりも、アルバム全体を締めくくる目的で設けられたセクションであると思われる。何とも言えない余韻を残すようなセクションであるため、再度アルバムを聴き始めたくなるような気持ちにさせてくれる。最後の最後まで見事なノンストップぶりである。)
【まとめ】未聴の方、苦手意識を持つ方こそ楽しめる作品
冒頭でも語ったとおり、「LADY-GO-ROUND」のメロディーはかなり控えめの作りであり、何の特徴も何度も聴きたくなるような癖もない。
メロディーだけを聴いた場合の楽曲クオリティーはイマイチであり、これから聴き始める未聴者に、正直自信を持って原曲をオススメすることはできない。
しかし、適度なサウンドアレンジにより楽曲のカッコよさが増し、「こひしかるべき」「わがなみだかな」「かみのまにまに」等の百人一首の言葉を日本語としてそのまま残すことで、「LADY-GO-ROUND」の魅力を更に引き出した本楽曲は、未聴者に安心してオススメできる作品となった。
「LADY-GO-ROUND」を聴いたことがない方には、是非、本楽曲を聴いてから原曲を聴くことをオススメしたい。
最短でスムーズに「LADY-GO-ROUND」の魅力に触れることができるはずだ。
そして、原曲の「LADY-GO-ROUND」に苦手意識を持っていたり、満足できなかった方にも本楽曲をオススメしたい。
きっと、少し派手に化粧を施した「LADY-GO-ROUND」に惚れ直すはずだ。
こひしかるべき、である。