Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、2ndミニアルバム「WICKED BEAT」の3曲目に収録されている楽曲、
「Bad Communication E.Style」
を、自由に正直に語る。
<はじめに>
このブログは、B’zの作品についてギタリストのRyo’zが、
・作品の概要 ・世界観 ・音楽性 ・聴きどころ ・稲葉さんのボーカル ・松本さんのギター ・イントロ、メロ、サビ、ギターソロ等のセクション毎の解説 等々・・・
B’zファンとして、ギタリストとして、そして音楽リスナーとして。
自身の経験を踏まえて解説、自由に考察しながら正直に語るブログです。
「BAD COMMUNICATION」をカバーしてる日本人かな?
打ち込みやサンプリングを多用してダンステイストを強めたデジタルロックナンバーであり、B’zの代表曲のひとつである「BAD COMMUNICATION」を英詞にしたリメイクバージョンである本楽曲。
(「E.Style」=English style。)
日本語版については、初期の楽曲でありながら現在でもライブ等で頻繁に演奏される楽曲であるため、耳馴染みのある方が多いのではないだろうか。
そして、英語版についても、売れに売れまくったベストアルバム「B’z The Best “Pleasure”」に短く編集されたバージョンが収録されているため、意外にも耳馴染みのある方が多いのではないだろうか。
(原曲のレビューについては、以下からご確認いただけます。)
【B’z】「BAD COMMUNICATION」を、自由に正直に語る。
リメイクとは言え、サウンド面の変化はほとんどなく、原曲から低音域を少し強めて、若干重みと迫力が増した程度。
ほとんど原曲と遜色のないサウンドであるため、純粋に英詞に変更しただけと捉えていいだろう。
英語の響きが新たに楽しめるとは言え、サウンドが大きく変化していない分、ファンとしては肩透かし感と少し物足りなさを感じるのが正直なところ。
英詞の変更についても、元々英語が多用されていただけに大きな変化は感じられない。
個人的にはもう少し変化があると嬉しいところではあるが、本楽曲のリリース以降も豊富なバリエーションのリメイク版がリリースされることとなるため、その不満は問題なく解消されている。
また、原曲(日本語版)に馴染んでいる一般リスナーも多いはずなので、B’zファン以外でも違和感なく安心して楽しむことができるのは大きなメリットだろう。
そんな「英語版のBAD COMMUNICATION」には秘話がある。
ディスコが全盛であり、B’zが現在ほどのヒットに恵まれていなかった頃の話だ。
B’zは自身のプロモーションのため、ディスコクラブへ提供する目的で日本語版以外にも英語版を製作。
さらに、その英語版を短くしたショートバージョンの音源を有線へと渡した。
すると、まさかの反響により日本語版よりも先に英語版が有線で人気を獲得。
(攻めた内容の実験的な作風であったため、B’z自身もこのヒットには驚いたという。)
しかし、英詞であることが起因して、驚くことに邦楽ではなく「洋楽チャート」にランクインしてしまう。
そのため世間では「BAD COMMUNICATIONは、海外アーティストの楽曲」なのだと勘違いされてしまう。
今から考えると、売れていなかったとは言え、信じられないほどの勘違いと扱いだ。
しかし、勘違いはまだまだ続く。
その後、英語版の人気を追うように、聴き馴染みある日本語版が邦楽チャートにランクイン。
すると、今度はB’zのことを「BAD COMMUNICATIONをカバーしている日本人バンド」なのだと勘違いしてしまう。
驚くことに当時の日本では、どちらも同じB’zの作品であるという認識はなく、「海外アーティストの楽曲をカバーしてる日本人バンドがランクインした。」という謎の勘違いが生まれたのだ。
どう言うことだよ、当時の日本!
そもそも誰だよ、洋楽チャートにランクインさせたやつ!?w
現在では考えられないような勘違いと状況である。
そして、幼少で記憶がなかった私にとって、この秘話は後日談として知ることとなる訳だが、知った時は驚きと共に、そんなことが許される寛容な良い時代だったんだなぁと暖かい気持ちになった。
賛否が別れる遊び心は健在
サウンド面の変化がほとんどなく、英詞の変更による違和感もないため、原曲と変わらない姿勢で楽しむことができる本楽曲。
しかしながら、相変わらず収録時間は「7分21秒」とB’zとしては異例の長さを誇り、インパクトのある曲名やB’zらしさが色濃く出ている楽曲、盗作疑惑が浮上するようなフレーズ等が盛り込まれた「遊び心」溢れる楽曲は健在。
相変わらず、聴き手を度外視するかのように振り切った実験的な作風である。
初めて聴く方は、「楽曲の長さ」や「遊び心」が理解できず、正直聴きづらいといった印象を持つかもしれない。
しかし、聴き続けて耳に馴染ませると共に、様々なジャンルの音楽を聴くことにより、徐々に本曲の魅力に触れることができるようになる。
大好きな楽曲に変わるまで何度も繰り返し聴き続けてほしい。
イントロ
Well, I really don’t know how to say,
But, I guess I love you
(何て言えば良いかわからないけど、たぶん私はあなたを愛していると思う)
原曲と変わらず、上記の言葉を語る女性の声からスタート。
その後、逆再生サウンドのサンプリングや、4つ打ちのドラム、Trampled Under Foot(Led Zeppelin)を彷彿させるリフなどが流れ、一気にダンス空間に。
さらに勢いを増して、お馴染みのテーマメロディーが流れ始めれると、稲葉さんの「あの」腰振りが頭をよぎる。
(B’zは「BAD COMMUNICATION」で初めてのテレビ出演を果たした。その時の稲葉さんの腰振りが最高にカッコいいので、未聴の方は必見である。)
メロ
例のリフの上に稲葉さんがボーカルイン。
ハスキー加減が薄れ、原曲(日本語版)よりもハッキリとした太い歌声となっており、ボーカリストとしての成長が伺える。
wow wow wow〜と続けるフレーズは、初めて聴いた当時は斬新な響きに思えたが、本楽曲がリリースされる頃には耳に馴染んでおり、むしろ心地よく響く。
そして英詞の変更については、冒頭でも語ったとおり元々英語を多用している作品であるため、新鮮な響きには聴こえず、違和感は特に感じられない。
身構えることなく自然な姿勢で聴くことができる。
(逆に言うと、良くなっていない訳でもあるが・・・。)
なお、演奏時間の省略のため、ライブでは2番から始まることもある。
また、ベストアルバム「B’z The Best “Pleasure”」には、収録時間の省略のため、2番から始まるショートバージョンが収録されている。
サビ
冒頭の「Hey,Hey」や、メロセクションから続く「wow wow wow〜」など、斬新なアプローチが続くサビセクション。
そして、ここ一発の最後のキメである「BAD COMMUNICATION」。
メロディーは聴きやすいのか?キャッチーなのか?等という、細かな話を超越し、特殊なフックが多すぎて、嫌が応にでも耳が引っ張られてしまう。
耳馴染みするまでには苦労するものの、馴染んでしまうと癖になるから不思議だ。
また、メロセクションと同様、英詞になったことによる違和感は感じられない。
(「hurry up,come on baby!」の部分はカッコいい響きになったかな?)
ギターソロ
原曲と変わらず、打ち込みを多用したダンサブルな楽曲と相反するかのように、ロングトーンを多用したメロディアスなギターソロとなっている。
その明確なコントラストは、ギターソロの存在感を高めており、あっさりしたプレイながらも聴き手の耳に残りやすい。
また、斬新なアプローチが続く中で、落ち着いたアプローチのギターソロは、唯一の安心感にも似た感覚を与えてくれる存在である。
(ライブでは弾きまくっていることが多いが・・・)
ちなみに、楽曲の後半のサビセクションでは、アドリブをふんだんに取り入れたプレイを稲葉さんの歌の後ろでひっそりと聴くことができる。
楽曲後半の勢いの加速を担うプレイだ。
【まとめ】癖になるような魅力は健在
今やB’zの代表曲の一つとして、B’zファンはもちろん、一般リスナーにも広く認知され愛されている「BAD COMMUNICATION」。
英詞になった本楽曲においても、癖になるような唯一無二の魅力は健在で、何一つ変わることはない。
日本語版からの大きな変化がない分、物足りなさを感じる可能性もあるが、その代わり耳馴染みのあるサウンドにより未聴の方でも安心して楽しむができる。
未聴の方には是非とも聴いていただきたい。
とは言え、冒頭でも語ったとおり、楽曲の長さや遊び心に溢れた斬新なアプローチ、盗作疑惑など、本曲を聴く上でのいくつかのハードルも健在であるため、相変わらず苦手意識を持ってしまうかもしれない。
すぐに超えられるハードルから、時間を要するハードルもあり、本曲の魅力に触れられるようになるには、徐々に耳を鳴らしていく必要がある。
無理をせずに聴き続け、自分に合った楽しみ方で聴くことがベストである。
自己流の楽しみ方で「7分21秒」のDANCE空間に身を預けよう。
hurry up,come on baby!