Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、2ndアルバム「OFF THE LOCK」の3曲目に収録されている楽曲、
「NEVER LET YOU GO」
を、自由に正直に語る。
緊張感
初期のB’zの楽曲の中でも、非常に完成度が高く、屈指の名バラードであり、名曲。
B’zあるあるの「なぜシングルにしないのか」と思う程の隠れた名曲である。
歌詞の世界観と楽曲がマッチしており、歌もギターも表現豊かであり、その完成度の高さは、前作のアルバム「B’z」はもとより、次作のアルバム「BREAK THROUGH」の収録曲と比較しても秀でている。
そもそも、本曲が収録されている2ndアルバム「OFF THE LOCK」は、収録曲すべてがシングルカットできるくらいのクオリティを目指して制作されているため、完成度の高さは必然的とも言えるが、それでも気合の入り方は尋常ではない。
もちろん、完璧な仕上がりかと言われればそうではない。
稲葉さんの歌い方・表現がまだまだ拙いところ、全体の完成度とのコントラストが強く出ている。
しかし、それが良いアクセントになっており、楽曲に良い「雑味」を与え、結果的に「緊張感」を出すことに繋がっている。
現代のB’zには確実に出せない緊張感は貴重だ。
B’zに限らず、どのアーティストにも共通するデビュー間もない頃の初期の楽曲に存在する緊張感は、楽曲に鬼気迫るものを与え、それ自体が魅力になることさえある。
本曲には再録版が存在しているのだが、原曲となる本曲には、再録版にはない魅力があり、それがつまり「緊張感」であり、聴き手はその「緊張感」に魅了される。
当然ながら再録版が悪い訳ではない。
しかし、再録版にはこの楽曲に必要な「緊張感」が含まれていないため、魅力としては、断然本曲に軍配があがる。
ぜひとも、その点を踏まえて、本曲を聴いてみてほしい。
イントロ
クイーンのブライアン・メイを彷彿させるかのような、重厚に重なった松本さんのギターから本曲は始まる。
バンドイン後は、力強さと切ない世界観が表現されており、自然と楽曲の世界観に入り込めるようなイントロだ。
メロ
そっと囁くように稲葉さんがボーカルイン。
初期の稲葉さんのハスキーな声質と、拙い表現(歌い方)が世界観にマッチしている。
穏やかながらも、どこか緊張感も感じられるのは、稲葉さんの拙い表現(歌い方)があってこそだろう。
そして、切なく響くドラムのリムショットも楽曲に良い味を与えている。
サビ
メロセクションの穏やかな情景から、緊張感に満ちた力強い情景へ展開。
導入部に若干のコーラス(ハモリ)が入っているものの、コーラスなし、単独のボーカルが続く。
これにより、ダイレクトに稲葉さんの表現が伝わるため、聴き手はグイグイと楽曲に引き込まれることになる。
特に、ギターソロ後の終盤におけるサビセクションの歌い上げは圧巻。
完成されていないボーカルによる「緊張感」は本曲のハイライトであり、本曲の魅力そのものだ。
ギターソロ
エレキギターではなく、ナイロン弦のギターによるソロ。
これがまた楽曲の世界観にマッチしており、鳴り響くナイロン弦がなんとも切ない。
別曲「JOY」でもナイロン弦ギターによるプレイを聴くことができるが、松本さんのピッキングの強弱や休符(間)を巧みに使った切ないプレイは絶品である。
また、アウトロセクションでは、ナイロン弦ではなく、エレキギターによる松本さんのギターソロが存分に楽しめる。
十八番のチョーキングやビブラートはもちろん、時折入れるピッキングハーモニクスが、なんとも切なく、美しく響いている。
そして、本曲を締める最後のボリューム奏法は、本曲の切なく儚い世界観に、良い後味を残してくれる。
楽曲の良さ
「隠れた名曲」とは言いつつも、再録版によって、比較的周知されている楽曲ではある。
しかし、原曲となる本曲については、聴いたことがない方も多いことだろう。
冒頭でも語ったように、原曲となる本曲には、再録版には存在しない「緊張感」がある。
その緊張感はこの楽曲に必須であり、且つ、魅力でもあるため、原曲となる本曲を聴いたことがない方やB’zビギナーは、ぜひとも本曲も併せて聴いてほしい。
この楽曲の本当の良さに気づけるはずだ。