Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、3rdアルバム「BREAK THROUGH」の4曲目に収録されている楽曲、
「BOYS IN TOWN」
を、自由に正直に語る。
果たされた夢物語
躍動感溢れるリズムに乗って、まだ明確にはなっていない大きな夢に向けた、野心溢れる男性の想いや戸惑い、葛藤を唄うロックナンバー。
楽曲のメロディー自体は非常にシンプルであるため、聴き手の飽きも生じ記憶に残りにくいため、B’z楽曲の中でもかなりマイナーな部類に入る本曲。
未聴の方や、あまり好きになれていないファンもいることだろう。
そんな本曲の聴き方や魅力について語っていこう。
クッサい
まず、本曲の魅力・興味深い点は歌詞にある。
メロディーに注力して良し悪しを判断してはいけない。
そんな歌詞の初見の感想は、
「恥ずかしくなるくらいクサすぎる」。
決して深い意味を持つような内容ではなく、絵に描いたような馬鹿な夢物語を語る若い男性の姿が描かれているのだ。
(男性であれば、純朴で怖いものなんてない若さ溢れる頃の無駄に熱い想いと戸惑い・葛藤に誰しもが共感できるが・・・。)
それがクサすぎて、聴いている方が恥ずかしくなる。
しかし、これは一般人の思考で世界観を捉えた場合の話である。
歌詞に登場する主人公の男性を稲葉さんに当てはめると、これがまったく笑えなくなってくる。
おそらく本曲の歌詞は、当時の稲葉さんの自身の経験や想いをストレートに吐き出したものである。
かなり誇張されているとはいえ、近い熱量で今後の自身の姿を夢見ていたのだろう。
そして、誰もが知る説明不要のロックスターとなった稲葉さんの現在の姿は、誇張されたクサすぎる本曲の歌詞の内容に一切負けていない。
時折襲ってくる、戸惑いと葛藤に打ち勝ち、みごと有言実行を果たした稲葉さんの姿そのものである。
歌詞のとおり、しっかりと「世界のウワサ」になれている。
こんなクサい本曲を歌えるのは、間違いなく稲葉さんだけだ。
コンバーチブルが大好き
余談になるが、本曲の歌詞における興味深い点をもう一つ。
1コーラス目のサビセクションには、以下の歌詞が書かれている。
「輝くボディのコンバーチブルで」
コンバーチブルとは自動車(オープンカー)であるが、稲葉さんは相当コンバーチブルが好きなのだろう。
と言うのも、B’zの他曲に「ピエロ」という楽曲があるのだが、この楽曲の歌詞にコンバーチブルを登場させる案があったのだ。
残念ながら語呂の悪さ・歌いにくさからコンバーチブルは採用されず、結局は「ポンコツカー」となってしまったのだが、ピエロの制作段階で稲葉さんは、本曲でコンバーチブルをすでに登場させていたことは覚えていたであろうか?
気になるところである。
イントロ
楽曲を常に支えることとなる、松本さんのディレイを存分に効かせたクランチサウンドのギターからスタート。
(ギタリストであれば、必ずやってしまう楽しいディレイ遊び。松本さんも楽しく弾いていたのだろうか。)
そして、ドラムの軽やかなフィルを挟みバンドイン。
透き通ったようなベルサウンドのシンセサイザーが楽曲に明るい光を与えてくれているが、歌詞の主人公の戸惑いや葛藤のように、どこかシリアスな雰囲気も漂うイントロセクションである。
メロ
そっと囁くように稲葉さんがボーカルイン。
初期の稲葉さん特有のハスキーな声質が、静けさを感じさせるAメロセクションの雰囲気にマッチしている。
明るさが増したBメロセクションでは、主線のボーカルに答えるようにコーラスが交互に登場し、楽曲のテンションを少しずつ高めていく。
さながら、ブルースで聴かれるコール&レスポンスのようで、聴き手としては楽しくなってくる。
サビ
A・Bメロセクションと進行するにつれ、徐々に楽曲の雰囲気に明るさを増していき、サビセクションでは明るい光が全面に照らされる。
躍動感溢れるリズムに乗って、さっそうと駆け抜けるように展開されるため、思わず走り出したくなるような気持ちにさせてくれる。
ただし、何度も言うようにメロディー自体は非常にシンプルなため、どうしても飽きが生じてしまう。
終盤で語るように歌う稲葉さんのセクションは面白いが、飽きを緩和させるほどの効力はない。
やはり、シンプルが故にあまり記憶に残らないのが正直なところ。
しかし、稲葉さんのセクション毎の歌い分けには、ボーカリストとしての技術の向上と試行錯誤ぶりが感じられる。
セクションをまとめて全体を見るように広く聴くようにすると、魅力的に聴こえてくるかもしれない。
ギターソロ
少しだけジャジーにも感じる、崩れていくように流れるフレージングでスタート。
松本さんお得意のチョーキングやビブラートを織り交ぜながら進行し、ピッキングハーモニクスも良いアクセントになっている。
終盤ではライトハンド奏法のような速弾きも登場し、スッキリと聴き終えることができる。
ソロ全体の構成は良い。
しかし、フレージングに少しわかりにくさがある(キャッチーではない)ため、ギターを弾かない方にはあまり記憶に残らないソロになってしまっている。
ただし、珍しい変化球気味の松本さんのプレイを聴くことができるため、松本フリークとしては味変できて大変満足である。
焦らなくて大丈夫だよ
冒頭でも語ったとおり、楽曲のメロディー自体の力は弱いため、数多いB’z楽曲の中でも特に認知されていない本曲。
B’zファンの中でも本曲を知る方は、古参、もしくは熱心なファンであろう。
B’zビギナーの方で本曲を知らない場合でも安心してほしい。
もちろんこれから聴けば問題ない。
そして、何度も言うように本曲における魅力は歌詞にある。
クサすぎる内容ではあるが、現在の大成功しているB’zや稲葉さんの姿を見れば、まったく笑えないくらいの有言実行ぶりにワクワクするだろう。
タイムスリップでもして、まだまだ駆け出しだった頃の当時の稲葉さんに、現在の圧倒的な成功ぶりを伝えたいものだ。
どんな反応をするか楽しみだ。