Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、5thシングルである、
「太陽のKomachi Angel」
を、自由に正直に語る。
<はじめに>
このブログは、B’zの作品についてギタリストのRyo’zが、
・作品の概要 ・世界観 ・音楽性 ・聴きどころ ・稲葉さんのボーカル ・松本さんのギター ・イントロ、メロ、サビ、ギターソロ等のセクション毎の解説 等々・・・
B’zファンとして、ギタリストとして、そして音楽リスナーとして。
自身の経験を踏まえて解説、自由に考察しながら正直に語るブログです。
モンスターの誕生
美しい女性に一目惚れした、男性の真夏の恋を描いた情熱的なラテン調ロックナンバー。
説明不要の人気楽曲であり、出世作となった本作は、(シングル・アルバムを通じて)B’z初のオリコンチャート1位を獲得。
前作の4thシングル「BE THERE 」のリリースからわずか3週間後。
ついにB’zはモンスターバンドへのスタートを切った。
(なお、2020年現在においても、シングルをリリースする度にオリコンチャートで初登場1位を獲得し続けている。)
衝撃的な化学変化
ラテンの珍しい響きと体が自然に動き出してしまいそうな軽快さ、中毒性のあるキャッチーなメロディーに溢れた松本さんの楽曲。
そして、斬新という枠を超え、もはや意味不明の領域に足を踏み入れた、独創的な内容の衝撃的な稲葉さんの歌詞。
これらが絶妙に組み合わさった結果、とんでもない化学変化が起きた。
もう、あまりの衝撃に当時は相当困惑した。
「なんだ、この曲は・・・!?」
とりあえず、初めて聴いた時の驚きはすごかった。
タイトルのインパクトもさることながら、サビの歌詞の内容が意味不明過ぎる・・・
しかし、キャッチーなメロディーにマッチした時の響きの中毒性たるや・・・!
その化学変化はB’zの音楽史、いや、日本の音楽シーンを揺るがすほどの爪痕を残し、B’zを代表する、まさかの名曲を誕生させてしまった。
一度聴くと忘れられないような中毒性と唯一無二の個性を持ち、圧倒的な魅力を放った本楽曲は、まるで歌詞の「理屈ぬき」のように、本能で良さを感じるレベルのクオリティ。
圧巻である。
自由奔放な作詞に挑戦した「BAD COMMUNICATION」の想定外のヒットで自信を付けた稲葉さんは、その勢いを緩めることなく、3rdシングル「LADY-GO-ROUND」で、ロックとは随分かけ離れた「百人一首」の言葉を大胆にも取り入れることで、独自の作詞センスを昇華させていった。
そして、その集大成とも言えるのが本作の歌詞である。
「BAD COMMUNICATION」譲りの軽快で勢いのある英語や掛け声、「LADY-GO-ROUND」に通づる珍しい響きを持つ古い日本語を取り入れた結果、破綻しそうなギリギリのラインを攻めながらも、一度聴いたら忘れられない魅力ある名歌詞となった。
以降、さらにこの独自のセンスは成長を続け、「ギリギリchop」や「愛のバクダン」、「ultra soul 」といった名作を生み出すこととなる。
一見すると笑えてしまうようなタイトルや歌詞でも、真顔で発することができるほど成立させてしまう稲葉さんのセンスには驚くばかりだ。
イントロ
迫り来るようなサウンドのドラムロールからスタート。
一気にバンドインし、情熱的で軽快なラテンのリズムと、ブラスが奏でる癖になりそうなキャッチーなテーマに、聴き手は一瞬で楽曲の世界に引き込まれてしまう。
すでにイントロセクションからテンション全開、唯一無二のクオリティだ。
そして、途中で演奏される松本さんのキメフレーズ。
これがまた良い味を出している。
平坦になりそうなラテンのリズムに、若干ブルージーな響きを持ったフレーズを埋め込み、白胡椒のような刺激がありながらもどこか心地よいアクセントを生み出している。
また、このフレーズを演奏するにあたり、ナイロン弦のギターにディストーションを掛けるという奇天烈で斬新な試みがなされている。
ラテンと言えばガットギター、ガットギターと言えばナイロン弦、ロックと言えばディストーション・・・
組み合わせとしては、たしかに理にかなってはいる。
しかし、油と水のような組み合わせとも思える事をやってしまう大胆さには驚くばかり。
ところが意外にも、ナイロン弦のマイルドで暖かな優しいサウンドはそのままに、ディストーションの派手な響きが加わることでロックテイストが強まり、違和感なく、むしろ一層と楽曲に馴染む結果となった。
ナイロン弦そのまま、もしくはスチール弦のただのクリーントーンやディストーションサウンドでは、ここまでの馴染み方にはなっていなかったかもしれない。
なお、ギターだけではなく、楽曲全体のサウンドが違和感なく「ロック」(アナログ)と「打ち込み」(デジタル)が融合しており、初期のB’zのサウンドコンセプトは完成の域に達している。
(現在でこそ、ハードロック色のイメージが強いB’zであるが、初期のサウンドコンセプトは「ロック」(アナログ)と「打ち込み」(デジタル)の融合であった。)
サビ
初期のB’zとしては珍しく、イントロ後はメロセクションではなくサビセクションへ突入。
テンション全開のイントロセクションから少し落ち着いたサウンドとなり、そこへ稲葉さんが元気ハツラツにボーカルイン。
(落ち着いたサウンドのサビは最初のみ。以降は狂ったようにテンション全開である。)
キャッチーなメロディーに合わせて歌われる斬新な歌詞は、さらに楽曲の中毒性を高め、聴き手を一聴で虜にしてしまう。
ライブでは、「Angel!」や「yeah,yeah!」のコーラス部分を観客が一緒に歌うのが定番となっている。
汗をかきながら、最高に熱く暑く盛り上がる。
耳だけではなく、頭から足の指先の体全体を使い、本能のままに楽しめる極上のサビセクションである。
メロ
情熱的なパーカッションとベースラインに合わせて歌われるAメロセクション。
表現力に乏しい初々しさを残しながらも、できるだけ落ち着いて歌唱する稲葉さんに、ボーカリストとしての成長ぶりが伺える。
しかしながら、現在よりも高音域に丸みがある初期のハスキーな声質を聴けることは貴重。
現在の「天下のボーカリスト」にはない魅力が多分に詰まっている。
そして、松本さんはひっそりと裏打ちでクリーントーンのカッティングを奏でて、楽曲の輪郭を際立たせてくれている。
その後のBメロセクションでは、松本さんの歪んだギターが加わることで厚みを増し、どこか優雅でゆったりとした壮大さを感じさせる。
セクション毎に違った雰囲気を持たせることで、楽曲全体にメリハリが生まれ、聴き手を飽きさせないことに成功している。
サビまで待ちきれない、ワクワクした気持ちにさせてくれる教科書のような有意義なメロセクションである。
ギターソロ
イントロセクションのキメフレーズと同様、ディストーションサウンドを身にまとったナイロン弦で演奏されるギターソロ。
スライドや休符を巧みに取り入れて味わい深く聴かせながらも、途中で流れるようなフレージングを加えることで、アグレッシブなラテンテイストを忘れない、松本さんらしい喜怒哀楽に満ちた構成となっている。
また、ブルージーでありながらも歌えるくらいにキャッチーなフレージングであるため、ライブでは稲葉さんがファルセットを利用してユニゾンで一緒に歌うのが定番となっている。
(二人が向き合う姿は、可愛くホッコリできるので必見。)
B’zファンなら歌えて当然の名ギターソロである。
歌えない方、どんなメロディーか浮かんでこない方は残念ながらモグリ。
今すぐに歌えるようになるまで聴き込んで覚えよう。
【まとめ】本能で楽しもう
つらつらと語ってきたものの、そんな解説やレビューなんて一切不要であるほど、圧倒的な知名度を誇る本楽曲。
未聴のファンなんていないだろうし、むしろ日本国民で未聴の方を探すことさえ困難。
正直、誰が今更こんなブログ読むんだ?読む人いるのか?と、疑問を感じ続けながら書き続けた。
(言われなくても知ってるわ!と批判されそうなところ、折れずに最後までよく頑張ったよ、オレ・・・)
しかし!
万、万、万が一!
未聴の方がいた場合、奇天烈な歌詞や中毒性のあるメロディーのインパクトに驚くと思うが、細かい事は一切考えてはいけない。
謎の魅力に最初は困惑するであろうが、あっと言う間に虜となり、何度も聴いてしまうほど、狂ったようにどハマりするであろう。
(初めて聴いた時のあのインパクトが味わえるなんて、未聴の方は羨ましい限り。)
とりあえず、汗をかきながら本能のままに楽しもう。
なお、本楽曲には英詞の別バージョンが存在している。
そちらもまた違った良さが楽しめるため、未聴の方は必聴である。
是非、楽しんでいただきたい。