Ryo’z on Guitarへようこそ。
本日は、2ndミニアルバム「WICKED BEAT」の1曲目に収録されている楽曲、
「I Wanna Dance Wicked Beat Style」
を、自由に正直に語る。
<はじめに>
このブログは、B’zの作品についてギタリストのRyo’zが、
・作品の概要 ・世界観 ・音楽性 ・聴きどころ ・稲葉さんのボーカル ・松本さんのギター ・イントロ、メロ、サビ、ギターソロ等のセクション毎の解説 等々・・・
B’zファンとして、ギタリストとして、そして音楽リスナーとして。
自身の経験を踏まえて解説、自由に考察しながら正直に語るブログです。
新曲ではない?
激しく鳴り響くオーケストラヒットとギター、何度も繰り返し再生されるサンプリングされたボーカルにより、何度も耳を奪われるような色鮮やかさを持ち、過激なダンスビートで自然と踊りだしたくなるような魅力を持ち合わせたスタイリッシュなダンスナンバー。
実は本曲、曲名は異なるが、2ndシングル「君の中で踊りたい」を英詞に変更し、打ち込みとサンプリングを全面に打ち出すことで、より一層ダンサブルにリメイクした別バージョンである。
(原曲のレビューについては、以下からご確認いただけます。)
【B’z】「君の中で踊りたい」を、自由に正直に語る。
初期のミニアルバムの定番である、既存楽曲のダンサブルアレンジリメイク。
正直、「君の中で踊りたい」が、こんなにもダンスビートが似合う楽曲だとは想わなかった。
たしかに、タイトルからも想定されるように、原曲においても「踊り」をテーマにした楽曲であり、情熱的なダンスアレンジであった。
冷静に考えれば合わないはずはない。
しかし、その想定を遥かに超える完成度に私は相当驚かされた。
まるで、田舎から出てきた素朴な女の子が都会に染まり、近寄りがたいほどの女性、高嶺の花に変わってしまったような驚きがある。
(え?違うって?)
とりあえず、とんでもなくひたすらにカッコよくなっている。
原曲の持つ素朴さは洗練されたアレンジによって違和感なく隠され、痺れるほどスタイリッシュでカッコいい楽曲へと激変した。
「君の中で踊りたい」の本来の魅力を知るには、本楽曲を聴くことが一番の近道と言える。
本楽曲を聴くまで、「君の中で踊りたい」の魅力を半分も感じることはなかった。
「シングルにしては、ちょっとインパクトが・・・」
そんな風にも思っていたが、本楽曲を聴いてからと言うもの、原曲の「芯」の魅力に触れることができるようになり、より一層「君の中で踊りたい」を楽しめるようになった。
「君の中で踊りたい」を聴いて満足しなかった方には、騙されたと思って本楽曲を聴くことをオススメしたい。
イントロ
ふわりとしたパッド系のセンセサイザーが静かに鳴り始め、野太く加工された男性の声によるさりげない「WICKED BEAT」の一言で、楽曲はゆっくりと幕を開ける。
宇宙を想わせるような壮大さと浮遊感を感じさせてくれる。
その後、フレットと弦の擦れる音が聴こえる程、ビブラートをたっぷりと掛けたロングトーンの松本さんの至極のギターがフェードイン。
お得意のチョーキングを加えて、じっくりとメロディアスに聴かせる丁寧な演奏が続く。
そして、再び野太く加工された男性の声によるさりげない「WICKED BEAT」の一言で、宇宙から地球に帰還するかのように、楽曲は本格的なダンスビートに包まれる。
IT’S SHOWTIME!!
一気にダンス空間へと変貌。
体が自然と動き始める。
サンプリングされた稲葉さんの歌声は、強烈なダンスビートに合わせて繰り返し再生され、スクラッチを加えながら熱を増していく。
強烈なドラムのフィルを合図に、ブリブリとしたサウンドのベースとオーケストラヒットが加わり、楽曲が色鮮やかに輝き始める。
喋るように効果音的に演奏されるスティーブ・ヴァイを彷彿させる松本さんのギターは、挑戦的な遊び心に溢れており、ギタリスト達をニヤリとさせてくれる。
その後、耳馴染みのあるテーマが流れ始めれば、「君の中で踊りたい」であることを再認識。
安心感を感じながらも、いつもよりも「おめかし」した先進的なサウンドに心酔していく。
メロ
原曲よりも勢いと力強さを感じさせるように、自信に満ちた稲葉さんが颯爽とボーカルイン。
英詞の新鮮な響きが、スタイリッシュでダンサブルにアレンジされた楽曲にマッチしており、楽曲のカッコよさがより一層と際立っている。
さらに、原曲よりも伴奏の音数(楽器)が減ってシンプルになっているため、より稲葉さんの歌に集中することができるようになっている。
必要最低限、不要なものを大胆に排除した良質なアレンジにより、楽曲全体にメリハリが生まれ、聴き手は飽きずに楽しめるようになった。
サビ
迫り来るオーケストラヒットを合図にサビセクションがスタート。
♩「お〜ど〜りた〜い、き、み〜の、なか〜で、」と歌い始める稲葉さん。
・・・。
・・・えっ!?
Japanese?
日本語!?
そう、実は本楽曲、「全」英詞ではないのだ。
サビセクションの冒頭のみ、英詞ではなく日本語のままとなっている。
しかし、この手法、前作の1stミニアルバムにおける「DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE -OFF THE LOCK STYLE-」(B’zのデビュー曲「だからその手を話して」を英詞にリメイクした楽曲)で使われたもの。
だからこそ、正直に言うと私はある程度予測できていた。
初めて本楽曲を聴いた当時、想定通り英語のままでなかったことにニヤリとしたことを覚えている。
一部を日本語にすることで、若干スタイリッシュ感は削がれてしまうものの、B’zファンとしては安心感を感じることができると共に、B’zの原曲への愛情を感じることができて嬉しい。
(海外の方でも、これくらいの日本語だったら覚えて一緒に歌えるだろうから、それもいいよね。)
ギターソロ
ワウを噛ませたマイケル・シェンカー譲りの鼻づまりサウンドで、ゆらゆらと弾き始める松本さん。
ピッキングハーモニクスを多めに鳴らし、かなり攻撃的なサウンドを聴かせてくれる。
そして、稲葉さんの「GO!」の掛け声と共に、原曲と同様に流れるような怒涛の速弾きが始まる。
スティーブ・ヴァイのように音をハモらせることにより存在感が高まり、原曲よりも濃いサウンドに圧倒されてしまう。
正直、原曲はただただ速弾きだけをする「松本さん以外でも弾ける」単調なギターソロとなっていたため、あまり魅力を感じることはなかった。
しかし、本楽曲では、松本さんのトレードマークでもあるチョーキングやビブラート、ロングトーンを多用した「泣きのギター」を聴くことができるので、松本フリークにとっては嬉しいリメイクとなった。
未聴の松本フリーク今すぐにチェックすべし。
【まとめ】良質アレンジで魅力を再実感
英詞によりスタイリッシュさが増し、打ち込みとサンプリングを全面に打ち出すことで、より一層とダンサブルにリメイクされた結果、原曲を大幅に超えるカッコよさと魅力を放つことができた本楽曲。
良質なアレンジにより、楽曲が持つ本来の魅力が最大限に引き出され、ひたすらにカッコいい作品となった。
原曲を聴いて、どこか物足りなさ、魅力に気がつけなかった方は、是非とも本楽曲を聴いてみてほしい。
間違いなく聴こえ方が変わるはずだ。
そして、初期のB’zのサウンドコンセプトである「ロック」(アナログ)と「打ち込み」(デジタル)の融合は、ここで究極の領域に達した。
前作の1stミニアルバムでは、聴き手を置き去りにするほど自由気ままな作風で、聴く人を選ぶような部分があったが今回は違う。
デジタルサウンドやダンスビートに慣れていない方でも十分に楽しめるような、ほどよい加減のアレンジになっており、未聴の方にも安心してオススメできる作品となった。
未聴の方には今すぐにでも聴いていただきたい。
そして、同じくハードロック派のB’zファンにも聴いていただきたい。
前作の「雑味」は相当影を潜めて聴きやすくなっているため、今度こそ満足していただけるはずだ。
要はB’zファンなら必聴ということ。
幅広いB’zの音楽性に驚愕しながら、改めてB’zの底知れない魅力を感じてほしい。
(また、こんな良質なデジタル作品を出してくれないかな・・・。)